「井水を活用したユニットクーラーで生産性が約5%向上しました!」
当社は小麦粉製造と小麦粉を全国のお客様にお届けする会社で、2022年には国内産小麦に特化した製粉工場を稼働させております。製粉工場には小麦を破砕・粉砕をするためのロール機が並んでいます。ロール機は、粉砕時にロール表面と小麦粉との摩擦による熱が生じてしまうため、ロール中心部へ冷却水を流す構造となっています。そのため、工場が本格稼働する前に思慮していたことが冷却水の手配方法でした。安易に水道水による冷却方法では大量の水の消費が憂慮されたため、私達はエコロジーな井水の利用を選ぶことにしました。しかし、井水は低温であるために、そのまま冷却水として使用してしまうと室温との温度差によってロール表面や冷却用の配管周りに結露が発生することが危惧され、その対策をどうするかが大きな課題となりました。また、気密性の高い建物構造の工場であるが故に夏場の室温は40℃超えが懸念され、1箇所に集中させた外気取入れ口でのフレッシュな空気の温度を如何に下げるかも次の悩みの種でした。そこで熟慮を重ねて導き出したアイデアが、外気取り入れ口にての井水の熱交換「吸気を冷却+水温を上げる」という一挙両得な仕組みでした。
<導入のキッカケ>
井水を空気冷却に使用可能できる製品をインターネットで探していたところ元々、屋上換気扇メーカーとして知っていた鎌倉製作所のラインアップの中に、井水を空気冷却に使用する事が出来る「ユニットクーラー」という製品がある事を知り、今回の導入に至りました。
<導入効果>
やはりユニットクーラー導入前は建屋内の夏場の最高温度時で40度を超える暑さとなり作業員は大変苦慮しておりましたが、導入後は最高温度時でも35度を超えないレベルまで涼しくなりました。
今回の1台導入はトライアルの意味合いがあり、1台でここまでの効果を実感出来た事は大変驚きでした。ちなみに当工場では、井水は始めに6階設置のユニットクーラーまで汲み上げられ空気冷却に使用された後に、ロール機冷却に利用する順序にしています。これは井水を直接ロール機に使用すると結露が発生してしまう為です。湿気が大敵である小麦の特性がある為、この順序で運用しています。今回特に驚いた事は「生産性」が向上した事です。小麦は挽砕(ばんさい)して細かく破砕、粉砕しますが、この時に暑いと「ふるい」抜けしにくくなり挽砕能力が低下してしまいます。この為、通常は夏に近づくに従い挽砕能力は低下します。ユニットクーラーの導入後は、この挽砕能力が向上し、生産能力(生産性)は約5%向上しました。これは想定外の効果であり、大変驚きでした。
また現場の作業者からは当建屋隣接の旧工場と比較し相当涼しくなったとの声が上がっていると聞いています。今後の計画では、今回の1台導入を試してみて、効果が確認できれば増設と考えておりましたので、ユニットクーラーの増設を検討したいと思います。
Point1. 夏場の最高温度は40度超えからMAX35度以下に!
Point2. 挽砕能力が向上し、生産性が約5%向上!
【6階(最上階)給気室】
【2階 ロール室】
【グレーチング(6階から吹き下ろし)】
【ロール機側面(井水による冷却)】